日本の働き方が大きく変わってきています。終身雇用が崩壊しつつあり、
「ジョブ型雇用」という新しい言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか?
僕自身、香港で「ジョブ型雇用で働く」というのを一足先に経験しました。
その経験談を交えながら、前半では「ジョブ型雇用とは何か?」についてお話をし、
後半で「新しい時代の働き方をどう乗り越えるか」について3つのポイントでお話をしていきたいと思います。
この記事の目次
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について
「ジョブ型雇用とは」を説明する上で、その対となる言葉「メンバーシップ型雇用」について、
まずは先にお話ししたいと思います。
<動画でも説明しています>
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メンバーシップ型雇用とは?
この「メンバーシップ型雇用」というのは、おそらく多くの日本人が認識している、
今まで一般的とされていた考え方です。
つまり、新卒で「一括採用」され、「終身雇用」という前提の元、
一つの会社の中で、さまざまな部門や職種を「ジョブローテーション」していくような働き方です。
メンバーシップという言葉にもあるように、「メンバー」つまりは「人」を雇い、
その「メンバー」は会社に忠誠心を持って働いていくというような考え方です。
年齢が上がるにつれて、基本的には「年功序列」で給料が上がり、
定年まで一つの会社で働き上げ、退職金がもらえる、といったような考え方です。
僕が新卒で入社した会社は、
まさしくこの「メンバーシップ型雇用」を採用していました。
わかりやすいと思うので、
少しだけ僕の会社の例をお話しします。
僕は「おもちゃ」を製造する会社に入りました。
採用の面接で「我が社で何がしたいか」と聞かれ、
「おもちゃが作りたい」「レストランやカフェを作りたい」といったような話をしました。
そして、その面接の場に同席されていた営業部長から
「お前、営業はやりたいか?」と聞かれ、僕は以下のように答えました。
「いいえ、営業はやりたくありません。
営業をやるなら別の会社で働きたいです」
晴れて、その会社から内定をいただき、新人研修の後に、
発表された配属先は、まさかの「営業部」でした。
僕は人事部に文句を言いにいきました。
採用面接で「営業はやりたくない」と言って、その上で内定をもらったのに、
「なぜ営業部なのか?」と
その時の、人事部の回答は、
「会社人生は長いんだよ。これから様々な部署を経験していくんだし、
まずは営業部で基礎を学んだ上で、企画部などに異動すると、営業に強い企画ができるようになるよ」
前提にある考え方は、終身雇用ですね。
社員は会社に忠誠心を誓い、「定年まで働く」という前提の元、
ジョブローテーションして、様々な部署を経験させ、
その会社で仕事がしやすいような人材を作り上げる
という考え方です。
社員に専門的なスキルを身につけさせる、という考えではなく
この会社で通用するスキルを満遍なく身につけさせて、うまく芽が出れば幹部候補にしていく
みたいな考え方ですよね。
そうすると、何が起きるかわかりますか?
例えば、
僕より20歳か30歳くらい年上の
「営業は気合いだ!土下座して売れるまで帰ってくるな!」みたいな人が
来期から、突然「IT関連」の部署へ異動です。しかも部長として
みたいなことが起きました。
「えっ、あの人がIT関連の部長?」「えっ大丈夫?」
「Facebookとか知らないんじゃないの?」
「コンバージョンレートとかクリック率とかわかるの?」
みたいな状態が生まれていました。
きっとみなさんの会社でもこういった状態があると思います。
こう言った状態になると、
「IT関連の古株の部下が、新部長に対してサポートや説明をする」
というよくわからない図式が生まれます。
部長よりも「少ない給料」をもらっている人が、
部長にITのことを説明して、
その上で、決裁権を持っている部長から
「決済をもらう」
というよくわからない図式です。
これがメンバーシップ型雇用ですね。
日本では、とくに大きな企業では、よくある形かなぁと思います。
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ジョブ型雇用とは
今度は、先程のメンバーシップ型雇用とは反対の考え方、
ジョブ型雇用について考えていきたいと思います。
僕は、その後「香港」で働く機会がありました。
香港では、日本とは全く異なる働き方でした。
メンバーシップ型雇用のように、会社に忠誠心を誓い
ジョブローテーションをしていくのではなく、
あくまで、専門的なジョブに対して、
人がパズルのピースのように当てはめられていきます。
「人を雇用する」という考え方ではなく、
「ジョブを雇用する」というような考え方です。
例えば、
社内で「通販ビジネス」を拡大しようという方針が決まれば
その「通販ビジネス」に必要な人、即戦力で働ける人を雇用します。
そして
もし、その「通販ビジネス」が上手くいかなくなって、
「撤退しよう」という方針が決まれば、
そこで働いている人も一緒に不要になってしまうので
放出されてしまいます。
こういう風な話をすると、
まるで会社が社員をコマのように扱っていると思われるかもしれませんが、
実は意識としては反対で、
社員が、その職場やそのポストを、すごろくのマスのように考えています。
その職場やそのポストはあくまで通過点に過ぎなく、
自分のスキルを活かせる新たな職場、もっと待遇がいい次の職場を
いつも探していて、いいチャンスがあれば、どんどん飛び込んでいきます。
だから、会社が社員をクビにすることも多いですが、
反対に社員が会社を見捨てることも多かったです。
メンバーシップ型雇用に比べて、非常に「ドライ」な関係でした。
僕が香港で働いているときに、
WEBマーケティングのスタッフを雇用しました。
一時的に、「WEBマーケティング」の仕事が暇になった時期があったので、
人手不足だった「営業」の仕事を手伝って欲しいという依頼をしようとしたら
NGでした。
採用の時点で、仕事内容というのが明確に決められており、それを超えて
仕事をさせてはいけないのです。
日本のメンバーシップ型雇用のイメージだと、
誰かが有給休暇を取っている時などは、代わりに他の人が手伝うとか
ある部署が忙しい時期には、他の部署から人手を借りる、みたいな考え方は
当たり前にあると思うんですが、
そういった考え方は、通用しませんでした。
「WEBマーケティングのプロの私が、なぜ営業をやらなければいけいないのか?」
「これが私のキャリアや専門性にどんな役に立つのか?」
という考え方でした。
長い間、日本の会社で働いてきた人からすると、
すごく斬新な考えなように見えるかもしれませんが、
この「ジョブ型雇用」が、
これから日本でもどんどん取り入れられていく可能性があります。
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新しい時代に何を意識して働けばいいのか?
ここまで読んでいただけると、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いが、
ある程度理解できたと思います。
ここからは、実際に、ジョブ型雇用が主流になってきた際に、
・どんな働き方をしていけばいいのか?
・何を気をつければいいのか?
についてお話をしたいと思います。
僕自身、日本でメンバーシップ型雇用で働き、
その後香港でジョブ型雇用で働いたので
両者のいいところと悪いところを
身をもって体験してきています。
この経験を踏まえて、3つのポイントをお伝えできればと思います。
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ジョブ型雇用を生き抜くポイント1 「期間限定」
ジョブ型雇用が主流になっていくと、従来のメンバーシップ型雇用であったような
・上司に対してゴマスリが上手い人
・宴会や接待ゴルフがお上手な人
こういった人たちが、
本業でのスキルや実績とは別に出世していくという
おかしな現象は減っていくと思います。
「なんであの人は私よりも専門スキルがないのに、
役職が上で、給料も高いんですか?」
という部下からの突き上げが激しくなるからです。
(実際に香港で、僕はそういう発言をする部下を何度も目撃しています。)
なので、
働く人の意識が、
「専門スキルをもっと身につけなければ」
という考え方が強まると思います。
その際に意識して欲しいのが
この「期間限定」という考え方です。
少し、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、
専門スキルを身に尽きる必要があるんですが
その専門スキルに固執してしまってはダメということです。
例えばあなたが、
「英語」のスキルを身につけようと考えたとします。
でも数年後に、自動翻訳機能が大幅にレベルアップしたらどうでしょうか?
「プログラミング」のスキルを一生懸命身につけても、
それよりも早いスピードでAIが発達し、
自動的にプログラミングができるようになったらどうでしょうか?
あなたが身につけようとしているスキル、
そのスキルを活用した仕事が3年後、5年後、必要とされているか、
というのがわからないんです。
私は一生このスキルでやっていこう。
このスキルを伸ばしていこう、って決めつけてしまうと絶対ダメです。
流動的に動けるように「期間限定」という考え方を取り入れてください。
スキルを身につけていっても
そのスキルが不要になり、会社から追い出される時もこれから普通に出てくると思います。
そんな時、もう一度、
別のスキルを身につけるという意識をぜひ持ってください。
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ジョブ型雇用を生き抜くポイント2 「ハイブリッド」
これからジョブ型雇用の流れは絶対に来ます。
でも、いくらジョブ型雇用の流れが到来しても、
日本人的な感覚、繋がり、よしみ、そういうのは「絶対残る」と思います。
だから、この流れに乗って、ビジネスライクになって
スキル偏重になり過ぎてしまうのも、よくないと思うんです。
ジョブ型雇用と、メンバーシップ型雇用のハイブリッドの意識をもってください。
時代の流れにのって、ジョブ型雇用の枠にしっかりとはまれるような
「あなたのスキル」を育てていくことをしながらも
同時に「人付き合い」というのをぜひ意識してください。
誰かを応援したり、誰かから応援されたり、
ということをやっておくことをお勧めします。
どんなにビジネスライクになっても、日本は、そういう人付き合いを大事にすると思います。
困ったときに助けてもらえるように、あなたも困っている人を助けるという意識を忘れないでください。
特に若い世代の方は、ジョブ型雇用の流れで、スキルのない年配者を見下したり、追放しようとしたりする
傾向を生み出しかねないと思いますので、ぜひこの「ハイブリッド」を意識して欲しいと思います。
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ジョブ型雇用を生き抜くポイント3 「高い視点を持つ」
ジョブ型雇用の弱いところとして、
「視野が狭くなりがち」というものがあります。
ジョブで雇用されているので、パズルのピースのように
「私の仕事はここだ」という枠が決められ、
「そこだけをやっておけばいい」という認識が生まれます。
その結果、世の中の流れや会社の流れから取り残されてしまい、
気づくとあなたのポストを見失ってしまいます。
ぜひ、以下のような「問いかけ」を定期的に自分自身にするように心がけてください。
「なんで私は今この仕事をしているのか」
「この仕事は、誰にどのように役に立っているのか?」
「上司や、さらに上の人は、どんなことを考えているのか」
「この会社はどこに向かっているのか?」
「世の中はどこに向かっているのか?」
こういった意識をもたないと「流れ」に取り残され、
スキルがあっても、そのスキルを活かせるポストがないという事態に襲われてしまうと思います。
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最後に
最後に、僕が好きな言葉をご紹介します。
アメリカの車メーカー「フォード社」の
ヘンリー・フォードさんが言った言葉です。
「顧客の声を聞いていたら、今頃私たちは速い馬車を作っていた」
お客様の声だけを聞いて、その満足度をあげるように商品開発をしていたら、
もっと速い馬車を作ることをしていた。
そうではなくて、速い馬車を作るんじゃなくて、
高い視点を持って、時代の流れを読んで
フォード社は、圧倒的に速くて快適な、車を量産していったんですね。
私のスキルは「馬車を作ることだ」と固執していたら、
取り残されてしまっていますよね。
ジョブ型雇用になると、
スキルに意識が集中しがちになると思います。
そんな時こそ、柔軟に、人との繋がりを意識しながら、
高い視点で、行動して欲しいなぁと思って、この記事を書きました。
何かの参考になれば、幸いです。
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